古い建物を活かすということ

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古い建物を活かすということ

自分達でリノベーションしてみてわかったこと。それは、古い建物を活かすための工事には、手間も時間も費用もかかるということでもある。

ある職人さんが「時代の流れに沿った工事は、部品等も入手しやすく安価になるが、時代に逆行する施工は、部品をさがすのも大変だしその分手間もかかるから、費用もかかる」と話してくれたけれど、そうだよねと納得した。

いわゆる古民家とは、躯体が木造で、壁も竹小舞の土壁、梁が立派な木材を使っていて・・・というイメージだと思うけれど、実は都内には、古い二軒長屋で戦火をくぐりぬけた建物もまだ残っているものも少なくない。

これを修復するのには、近代的にリフォームしてしまう/古民家のよさを生かして、古民家のままリフォームするの二択になる。
大工さんのお話しを総合すると、柱だけ残して、あとは今風にやり直してしまったほうが実は簡単だし安くできるという。

床を開けてみたら大量のゴミが出て来たり、壁の中を開けてみたら、竹小舞の泥が欠落していて隣との壁がなくなっている部分があったり、隙間はあきまくりだし、こりゃネズミや虫は入り放題だな・・とわかる状態から、ボード貼って壁をやり直すのは修復から入らないといけないし、壁を開けてみないとわからないので大工さんのおっしゃることもよくわかる。

大正時代に庶民が住むための二軒長屋だった建物を活かすために、どこまで手と費用をかけていいのか、そのあたりのバランスも難しく当事者の価値観次第というところだし「この建物を残す意味がわからない」と言った大工さんもいたくらい・・まぁ、古い建物が残っていたのにはわけがあり、道付きが悪かったり、所有者の諸般の事情があったりするので、ものすごく保存状態のよい状況で残っている古民家もあるけれど、それは由緒正しき歴史的価値のある建物であったりするのだと思うし、きちんと維持管理に手間も費用もかけている建物なのだろうと、しみじみ実感した。

結局は、所有者や借り手が「この建物を残したい、古さを良さとして、大切にしていきたい」という想いがあるかないか、そこにかかっているように思う。

私達は、事務所をリノベーションするにあたり、自分達で何度も何度も柱を水拭きしたり掃除をしたおかげさまか、家の意識のようなものとつながる瞬間もあり、戦争をそこに建って観ていた建物に対し、ただただリスペクトする気持ちもわいてきて、この建物を大切に使って行きたいし多少のすきま風や虫は覚悟しつつ、できる限り隙間を埋めていくように自分達もちょこちょこ手直ししていこうと、覚悟を決めたのでした。

古民家をリノベするのは、近代的な断熱性・気密性のない建物に住まうということのある程度の覚悟も必要だと実感してもいます。

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