木組み博物館~早稲田~

風通しの良いお部屋とご縁を紹介

木組み博物館~早稲田~

鎮守様でもあるので良くお参りしている穴八幡宮。北参道鳥居のお隣のビルに「木組み博物館」があり、、ずっと前から気になっていた。

時間の余裕のある時に入ってみたいなぁと思いながらも、ビルの2階が受付らしく、入りにくいのもあり、なかなか入るに至らないで時間が経過していたが、先日穴八幡宮に参拝した帰り、博物館の開館日にあたり、思い切って入館してみた。

展示してあるものは、古来の在来工法、宮作りなのどの木組みの模型等で、クギを使わずに木のでこぼこだけで組んである様や、伝統木造建築の技術の数々が、サンプル等で展示してあった。

ちょうど自分達がかなり苦労しながら大正時代の古い長屋のリノベーション施工を体験したからということもあり、「日本の歴史的建造物が作られた技術はすばらしい」と感動していたので、この木組み博物館の展示内容は、心に響くものがあった。

そのことを、受付にいらしたシニアダンディーにお伝えしたら「館長にも伝えておきますね」と、館長さんがここを開館した想いなどをお話ししてくださった。

館長さんは元々、某大手ゼネコンの業務で日本伝統木造建築の修復や施工管理に長年携わった中で「伝統工法で建てようとする人の減少、作り手の後継者がいない、材料が枯渇してきている等日本の伝統木造建築の文化が危機的状態に向かっていることへの憂い」(パンフレットから抜粋)を感じ、ご自身のお手元にあった資料等を展示し、一人でも多くの方にその素晴らしさを直接感じてもらえたら、という想いからこの博物館を作られたと伺い、その志に感動した。

スクラップ&ビルドという思想で日本は経済成長もしてきたし、建築業界に流れるその思想は、すばらしいところもあるし、建材は日進月歩するので、断熱性や耐震性等すばらしいところもあるので一概に否定はできないけど、日本の古い建築物は、木材のリサイクルや壁材のリサイクル可能だったりそれこそSDGsなものだ。本当にエコにできている。

実際自分達でリノベーションする中で、職人さんの後継者不足や、今後二十年したら本物の和室を作れる職人がいなくなる・昔の建物を直せる大工がいなくなる、など現場の憂いも聞いていたし「建てる・和室を作る施主がいなければ、技術は受け継ぐことはできない」と聞き、たしかにその通りだな・・と今の新しい建物を見て思ったのでした。

神社仏閣でもないとこういった伝統工法で建てることは難しいかもしれないけど、残っている歴史的建造物をただ壊すのではなく、残すべきものは残していける世の中であったらいいなぁと、自分達の経験を通して実感しているので、そういったことを一人でも多くの方に知ってもらいたいと、改めて感じました。

伝統的建築物には、そのすばらしい日本の職人さんの技術がある。それを受け継ぐ人たちが一人でも多く出てくることを、心から祈念します。もっと若いうちにこの素晴らしさに触れていたら、私も伝統技術の世界に入りたかったと思ったものです。

ご興味がある方は、ぜひ一度ご訪問してみてください。

今はコロナ禍ということもあり、手袋持参であれば、実際に木組みの展示物に触って体験できるものもあるので、手袋を持参されることをお薦めします。

 

 

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