日本男児の立派さ

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日本男児の立派さ

先日、父の後輩で86歳になられる方が「どうしてもお父様のお墓参りをしたい」と連絡いただき、お連れすることになった。

ずっと健康で健脚でいらしたようだが、昨年は入院をして足も弱ってしまったと聞いていたので「ご無理は絶対にしないでください。そのお気持ちは、あちらの世界の父に必ず伝わっていますから、お墓参りされなくても十分お気持ちだけいただきます」と固辞していたのだが「自分の気が済まないので」と強くおっしゃるので、根負けしてお約束をするに至った。

茨城から電車を乗り継いで約1.5時間ほどかかる場所にお一人でいらっしゃるなんて、奥様もご心配されるのではないか・・・いっそのこと、ご自宅まで車で迎えに行こうか等といろいろ交渉したけれど、「最寄り駅まで電車で参ります」ときっぱりおっしゃるので、駅まで車で迎えにいき、菩提寺へと向かった。

父のお墓の前でお花を供え手を合わせると、大きな声で「Iさん、やっとご挨拶にこれました。遅くなってすみません。Iさんには本当にお世話になりましてありがとうございました。家族のようにかわいがっていただいて、心から感謝しています。ぼくももうすぐにそちらの世界に参ります。そちらの世界でもどうぞよろしくお願いします。」と、祈り言葉をおっしゃった。

その姿勢や背中を見ていたら、その方の真摯な追悼の意と感謝の言葉、父への義理や人情と熱い気持ちが伝わってきて、一緒にいた主人も私も涙が止まらなくなってしまった。

父がその方をどのようにかわいがったのかは私は知りえないけれど、その方にとって、父は恩人とおっしゃり、ご自身の病後思うように動かない身体の時にも想ってくださっていることは、ただただ感謝するばかりで、お墓に向かって「おとうさん、Tさん来てくれたよ。ありがたいね」と話しかけました。

私が小学生の時に父は脳梗塞と脳出血を併発しマヒや言語障害が残ったために、家族にはそのストレスを当たり散らす姿を見ていたので、家族としてはそんなに魅力的な父とは思っていなかったけど、若い頃は他人から見ると魅力的なオトコだったんだなぁ、そんなバリバリの父を観てみたかったなぁとも思いました。

自分があちらの世界に行ったあと、こんなふうに想ってもらえる人はどのくらいいるんだろう。

父も人から慕われていたんだなぁ、それをこうして教えていただけてありがたいなぁと改めて感じ、これからの自分の人生を義理と人情に厚く生きていきたいと感じるお墓参りでした。

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